北九州・小倉で200年の歴史を誇る本格派江戸前鮨を握るミシュラン2つ星店が待望のバンコク上陸【Nikaku Bangkok (二鶴)】

その他

二鶴とは

北九州は小倉、日本海、下関、関門海峡が入り混じるこのエリア

わずか7席のカウンターだけで切り盛りされるミシュラン福岡にて2014年にはじめて2つ星を獲得している本格派江戸前鮨屋。3代目である船橋大将のお父様も鮨職人だったそうですが、父の店を受け継ぐ為に修行に出た先で本格派江戸前鮨に出会い度肝を抜かれ、父の流派である戦後江戸前鮨から一新し、約200年続く伝統を現在引き続いでいるそう。

二鶴が大切にする江戸前鮨の基本3原則

魚の鮮度

お店を東京に移すことなく、元からある北九州の小倉に現在もあることがそのことを大きく示しているのですが、魚は鮮度が命と熱く語る大将。関門海峡は潮の流れがとても強く、そこで獲れる魚は抜群に美味しいとされていることから、鮨に使用するほとんどの魚を九州近郊で採れたものを選んでいるというこだわり。

塩梅

塩は塩加減、梅は酢加減。この塩と酢のバランスが良い時に「塩梅」がいいとなります。「塩梅」のいい料理は素材の味を引き立たせます。(公式HPより引用)

塩梅の良いお料理は甘くなるそうで、丁度良く加減された酢飯と、鮮度の良い魚を握った本物の鮨は、自然と甘みがでるそう。本格派江戸前鮨の特徴はお造り、お料理、酒肴、握りにおいて全てにお砂糖が使用されていないこと。もちろんみりんももっての外だそうで、素材を活かした自然の甘みを堪能できるそう。

本手返し

これは鮨の握り方で、200年前に誕生したとされています。本格派江戸前鮨の握り方には他に小手返し、縦返しという握り方もあるそうですが、本手返しが出来る本格派江戸前鮨を握れる方はそう多くないそう。

鮨に関する豆知識

よく迷う「寿司」と「鮨」。使い方をご存知ですか?大将から直々に聞いた為になる話。江戸前すしはこちら「鮨」を使用。年間を通し実はお祝い節句は5つあるそうで、有名どころでいうと3月3日のひな祭りの桃の節句。この時に自然と用意されるのはちらし寿司だと思いますが、こういうお祝い事の節句にはおめでたいという意味が込められた「寿司」を使うんだそう。

また、店内で大将が鮨を握る場所を”つけ場”、鮨をのせる皿を”つけ台”という呼び方をするそうですが、これは200年前に魚を漬けていた場所やその名残りからその名が今も使用されているそう。

こういう豆知識をカウンター越しに聞かせてもらいながら、頂く鮨はなんと贅沢なことでしょう。

バンコク店内紹介

BTSチョンノンシーから徒歩2分の距離にあるWホテルの1階に2023年7月にオープンしたというNikaku

エントランスから右手に進み直ぐの場所にあるのですが、直接外から二鶴に繋がる扉もありました。

1回転全12席、美しく整えられた席に座り

ティーペアリングのメニューをしばらく見ていると

お茶には全て日本から持ってきているというこだわり大分の日田天領水を使用しているそう。

日田盆地から生まれた自然豊かでミネラルたっぷりのお水はクリアでしっかりとした口当たりの柔らかいお水でした。タイにいるからこそより分かる、日本の美味しいお水のありがたみ。そんな中、3代目大将が目の前で最終確認の仕込みをしている姿やお弟子さんがシャリを仕込む姿、

後ろの焼き場と思われる場所でもちゃくちゃくと始まる準備が行われています。

ちなみに皆さんが着ている割烹着のロゴマークは”握る”を意識したものになっているそう。

注目して見てみると、お箸にもそのマークが刻印されている細やかさを見受けることができました。

実は5年前に1度タイ・バンコクでイベントをやったことがあったそうな大将、そのご縁がきっかけで今回お店をオープンすることになったそうですが、そこには新鮮な魚をタイまで運んで納得できる味のまま提供できるかなど、想像できないほど大変な道のりがあったそう。

全メニュー紹介

今回、本当にとっても楽しみにしていた本気の本格派江戸前鮨。まず最初に出てきたのは蛸

関門海峡で獲れた蛸と、あいのしまという地で採れた天然のわかめ(凄く貴重だそう)に、菊のお浸しが添えられておりとてもスモーキーで肉厚なタコとお出汁のしみ具合が抜群でした。

No.1 お抹茶ソーダ

ここから握りのなりますが、静岡の山葵を使った本格派江戸前の最初の握りは

関門海峡からの鯛の昆布締め

しっとりとしてぎゅっと引き締まったとろみのある昆布締め。しっかりと握られているのに、口の中に入れた途端お米が解ける感覚が分かりました!

さわら

こちらも関門海峡で獲れたもの。出世魚として知られ、大きければ大きい良く、縁起が良い魚ともされております。とても繊細で、編みで獲れた魚は身割れしやすいらしく鮨に不向き。一本釣りでのみ獲れたものがお鮨になるそう。

さわらの茶碗蒸し

さわらの骨からとったお出汁100%の茶碗蒸しには、贅沢にも車海老なども入っている高級茶碗蒸し。

No.2 Oolong teaは生姜がとても効いているグリーンウーロン茶

車海老

先程茶碗蒸しで出会ったものとはまた一味異なり、海からあげてすぐに茹でた方が美味しい天然水のあいのしまから来た車海老は、単体よりも酢飯と食べた方が甘みをぐっと強く感じる。これこそが塩梅の良さだそう。

まぐろ漬け

来店してから目の前で漬け始めたマグロ漬けは、

程よいとろみと甘さが印象的。塩釜から来たマグロちゃん。その昔、お砂糖をたっぷり使用した戦後江戸前鮨は甘さが売り。日本料理とは相性のよく無いマグロは、砂糖不使用の酢飯と相性が抜群と知れ渡り、現在は世界でも大出世したと言われる魚だそう。

No.3 合鴨玄米茶

笹がれい

かれいの王様と言われる笹がれいは、干物にしてもとても美味しい角島産。日干しかれいは驚くほど塩味が効いていましたが、海から出てきてそのままのものを干したそう。旨味がぎゅっとしていてとても美味しかったです。

赤イカ

九州で獲れるイカはほとんどこう呼ぶそう。別名として有名なのは、いつか本場ので食べたい!呼子のイカ。とろっとした滑らかさで肉厚なのに歯切れがとても良く、とろけた〜。

ヤイト鰹の藁焼き 

ヤイト鰹はとても珍しい鰹だそう。昔の方は鰹と酢飯が相まった塩梅の味がとても好きだったそうで、高級だった鰹は憧れの魚だったそう。「初鰹は女房を質に入れても食え」という江戸時代のことわざにもその名残を感じます。ヤイト鰹はそこらの鰹とはレベチなくらい、美味♡好きなネタにランクインしました!

いくら しらす 大根

驚くほど一粒一粒しっかりとした歯ごたえのあるいくら、しらす、大根、ゆず皮の相性がさっぱりしていてお口直しに最高の組み合わせ。

No.4 釜蒸し茶

奇跡の赤ウニ

赤ウニは九州で採れる夏が旬のウニ。殻は赤く、この日の物は安岡から採れたもので

シーズン的にラストだそう。とってもクリアであま〜いと思ったけど、ベストシーズンにはもっと甘味が強いものが食べられるそう。海が冷たくなるとウニは苦くなるから、夏が旬の食べ物だそう。

大トロ

天然の大トロは酢飯との塩梅がとても良く、甘さが際立つ!高級な脂も感じつつ、くどくないあたりがとても新鮮で、本当に美味しい!ちなみに赤身の魚になればなるほどヒスタミン(魚を悪くするもの)が多くなって傷む速度が速いそう。

No.5 ぐりかねがねほうじ茶

締めさば

これまたさっぱりとした味ととろみを感じる舌触りが、とても良いコントラスト。人生で食べるしめ鯖で1番美味しかった♡

牡蠣の酒蒸し

優しく酒蒸しされた牡蠣とティーペアリングで出されたぐりかねがねほうじ茶(名前難っ)との相性が非常に良い。ほのかな苦味の中にクリーミーさが残る逸品

あなご

お塩が上にのっているあなごちゃんはフワッフワ。前に鮨屋のお友達が言ってたけど、穴子が1番鮨ネタで難しいと。フワフワさせるテクニックは一筋縄じゃいかないみたいなので、さすがのお手前でした。

鉄火巻き

マグロと大トロをふんだんに入れた贅沢な鉄火巻き。さっぱりとした中に、ベタ褒めした先程の大トロの脂身がほんとに丁度良い塩梅。1つですが、しっかりと食べ応えの感じる軍艦。

椀物

赤だしでゆずの効いた椀ものにはお揚げやお葱、わかめなどが入っておりほっとする味わい。

たまご

たまごとお出汁のみを使用し、甘すぎない玉子焼き。握り方が独特で可愛い。

No.6星の村本玉露とお茶の佃煮

毎年賞を受賞しているような銘茶で、別名はヤブキタともいうそう。私たちがCMなどでよく聞くあのヤブキタブレーンド!のやぶきたですね。

みかんの水羊羹

ほのかな甘さの中に、みかんと羊羹のハーモニーをしっかり感じる一品。デザートと共に出てくるきつき黒茶との相性もとても良い。

No.7 きつき黒茶

玉露ほうじ茶ゼリー、豆乳プリン甘酒ココナッツミルクソース

タイをイメージし、和菓子の中に落とし込んだここだけの銘品。ココナッツミルクと豆乳の組み合わせはタイ人の方にも衝撃的で新しく、感動していたお品。さっぱりとしていてそれでいてお上品、とても美味しかったです。

ショコラの浮島

まるで洋菓子のショコラに見える見た目をした和菓子。カカオニブ、カカオマス、小豆、お砂糖などを使用し、カカオ感が濃厚な伝統的な和菓子。濃厚なテクスチャーはまるでケーキのようで、これは日本の小倉でもシグニチャーとして提供されているそうです。

デザート担当女将、三代目大将船橋氏

まとめ

日本で行ってみたい地、圧倒的にNo.1の九州地方。小倉とは行ったことのない私ですらも聞いたことのある有名どころ。福岡ミシュランで2つ星を取得していながら、とても物腰柔らかく沢山の鮨に関する知識をカウンター越しにいっぱいお話ししてくださった気さくな大将が持つ信念が、本格派江戸前鮨にもまっすぐ出ているような、そんな素晴らしい味わいでした。まさかタイのバンコクで味わえる日が来るなんて、バンコクの鮨業界レベルが益々潤いますね。常駐はされておりませんが、早くて来年1月に再訪されるとおっしゃっていたので、予約合戦が見込まれると思いますが、是非とも極上のひと時を味わってみて欲しいと思います。私もまた絶対、伺いたいお店です!本物のしめ鯖ってこんなに違うんだ!と大感動させられました。

Nikaku Bangkokの詳細

営業時間Lunch 12:00 / Dinner 17:30- 20:00- 水曜定休
TEL+66 80 732 2338
住所G Floor, 106 North, W Bangkok, S Sathon Rd, Silom, Bang Rak, Bangkok 10500
行き方BTSチョンノンシー駅から徒歩2分
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